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分野 : 一般 カテゴリー : コラム 2025-01-06
2023 (令和5)年の「今年の言葉一」は、プロ野球阪神球団の優勝による「アレ」に決まった。
 年末の今なら政界を揺るがす政治資金問題で「キックバック」或いは「中抜きパーティー」などという言葉もノミネートされたかもしれないが、それはさておき、今年ノミネートされた言葉の一つに「OSO18と、アーバンベア」というのがあった。冬眠前のクマなどが、民家のある都市部にまで出現して、時には人間を襲うなどして話題になった。
 専門家はこの原因として「山間部の集落の過疎化で里山と呼ばれる人間の生活圏と山間地の遷移帯が消滅して、それまでは民家の庭先にあった柿や栗の木が、手入れもされずに放置されるようになり、これが野生動物の恰好のえさ場になったことに加え、今年は異常気象に伴う夏場の異常な暑さで、どんぐりやしいの実など、野生動物の食べ物になる木の実が不作で、このような餌をもとめて、街中まで出歩いてくるようになったのだろう」と分析している。
 しかし私は、もっと別の要因もあるのではないかと考えている。それは以前には山間の各部落に必ず2、3人は居たプロの猟師が今は殆ど居なくなり、この獄師たちによって毎年定期的に駆除されていた、クマやイノシシなどの大型動物が、何の支障もな く繁殖していることが要因の一つであると思われる。
 その証拠に、山を良く知った人が、山の中に入って見ると、今までクマなどの巣になっていた所には従来通り、1匹の成獣がその場所を占めており、このクマは山中に居て、人里には出て来てはいないということである。そうすると、あちこちで見かけられる個体は、新しく生まれて、新たな住処を見つけられず山中や里山をウロついている奴と言うことになり、猟師が定期的に駆除しなくなった結果、山の中で人(獣)口が過多になり、獣の姿が溢れかえっていることが、十分に推察される。
 人間と大型の野生動物は、長い歴史の中で、時には狩猟・捕獲という形で削減・淘汰され、これで自然界のバランスが保たたれてきたが、近年に至ってこのバランスが大き く崩れ、結果として人間が野生動物を目にする機会が増えたということも出来るだろう。
 このように、近年大々的に叫ばれている気候変動だけが短絡的な原因ではなく、多くの人為的な条もからみ、自然と人間の共生というテーマは大きな転換期を迎えようとしている。
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