山中や川の中を地質調査で歩き回っていると、自然界の動植物と直接に接する機会が、街の人や普通のサラリーマンなどよリもずっと多くなる。
しかし、山中を歩き回リ、誰もいない山中で野宿することもあったが、それらによる生命の危険を感じるような経験はほとんどなかった。
最近はクマ、イノシシ、サル、シカ、タヌキやキツネ、それにハクビシンなどの野生動物が街中にまで出現し、人間の生活を脅かしているようだが、私が山を歩き回っていた1960年代はそんな問題はほとんど発生しておらず、人間と野生動物は上手に棲み分けていたように思う。
それでは何の支障もなく山の中を歩けたかと言うと、決してそんなことはない。
実は怖いのは毒蛇のマムシや、クマ・イノシシなどの野生動物などではなく、もっと小さな生き物、アブ・ダニや、ヒルの方がずっと恐ろしくてやっかいなのである。
近年、地球上では人口の急増と産業革命以来、加速した化石燃料の大量消費を原因とする地球温暖化が大きな問題となり、脱炭素と再生エネルギーの活用増大が叫ばれている。
このような大問題はさておくとしても、最近「自然との共生」という言葉が良く聞かれ、人間の無秩序な自然破壊に対する警鐘が鳴らされている。
そんな時であってもこれらの生き物と人類が共生することはかなりむずかしい。